Interview with 歌乃

~歌乃~
愛知県を中心に活動するソロシンガー。学生時代に声楽専攻で学んだ歌唱技術を活かし現在は様々なイベント、ライブハウス、ストリートライブ等で幅広く活躍している。

X: @utano_singer
youtube

歌乃さんの路上ライブ。凛とした佇まいで、伸びやかな歌声とパフォーマンスがとても印象的でした。
是非皆さんにも歌乃さんを紹介したいと思い、これまでの活動を紐解いて話を伺いました。

歌うことが好きになったのは、いつ頃からでしたか?
物心ついた頃から歌うことが大好きでした!幼少の頃から、習い事で音楽を嗜んでいました。学生の頃の歌唱テストをペア(2人ずつ)で行ってた記憶があるんですけど、私は歌声が大きすぎて「(ペアの子の声が聞こえないから)1人で歌ってくれ!」と先生に言われたことがあります。「はいっ!分かりました!」と少しも戸惑わず堂々と歌い切ったのは、好きだからこそでしたね。

影響を受けたアーティストにはどんな方がいらっしゃいますか?
ニコニコ動画やYouTubeで活動してる歌い手さん達です。名前を挙げても良いなら、「96猫 さん」、「ヲタみん さん」、「のぶなが さん」…挙げ出すとキリが無いので3名だけ!(笑) 。所謂、2次元が大好きなオタクカーストに属してて、ちょっとした時間に、パソコンとかケータイとかで音楽を聴くのが好きでした!有名な楽曲をいくつもカバーされてる歌い手さん達。個性溢れる歌声と、独自の表現力と、有名楽曲の力が合わさってて、とても魅力的に感じました。いつか私もこんなふうに素敵な歌い手になりたいな、と憧れました。今でもずっと憧れてます!

思い出に残る楽曲や、エピソードがあれば教えてください。
自分がこれまで歌ってきたオリジナル曲でも良いですか?「Find the way ~It’s gonna be alright~」。(曲名長いですよね、、スペル自信なくて調べました(笑))この曲はPINKFOXのオリジナル曲なんですけど、活動の後半に発表された曲です。それまでの曲は、実はほとんど私の声が聞こえない、または入ってないものばかりでして。それに加えて、「歌うことならお任せあれ!」って声高々に自己紹介で言いながら、ステージ中マイクを一度も持たせて貰えない日は数え切れないほどありました。この曲は、私の声を沢山使っていただけてて、「ああ、この曲なら、自分の持ち曲だ!って、堂々と歌っていいんだ」って、今まで我慢して抑制してた自己主張が涙と一緒に溢れてきて…。今思えば、このエピソードもまた、現在の活動の源になっているのかもしれませんね。

歌乃さんの名前の由来は何ですか?
某教育番組の「うたのおねえさん」→「歌乃(うたの)お姉さん」→「歌乃」です。とにかく歌う人でありたいし、歌う人だと思われたいので!分かりやすく「歌」!ですっ!(笑)余談ですが、ああいう曲(某教育番組の楽曲)とかを歌うのも、割と得意だったりします。ライブでは、客ウケしないのと、私の趣味ではないので歌いませんが。

地元アイドルグループPINKFOXの一期生としての活動について確か地元花火大会でライブしてませんでしたか?当時グループの存在は知っていたのですが、最近になってから所属活動していたことを知りました。
現在でも毎年地元花火大会をやってますよ。そこの催し物で、芸能的なステージ披露が設けられていまして。みよし市のPRアイドルなので、勿論、毎年出演しておりました!…とはいっても、3年間の活動なので3回の出演でしたが。そうでしょうね、グループアイドルってセンターと隅っこの子じゃ、人気や知名度(?)は、かなり差が出ますから。私の立ち位置は、大体後列左端ですからねぇ…。目立ち具合、人気度は、お察しです…。

10代でのアイドル活動を通して得られたことや体験できたことは大きかったですか?
沢山のものを得ましたよ。まずは、この界隈に足を踏み入れ、知ることが出来た。そして、地元の力とアイドルの力を通じて出会えた人がいた。世界の入口が、私には分からなかったんです。「歌を人前で歌ってみたい。でも、どんな場所で?どうやって?どんな人がいるんだろう?何を歌えばいい?」って。今はネットで調べれば何でも分かるし、SNSで手軽に出演者募集とか見かけますけどね。あとは単純に経験値とか!歌唱力、MC、パフォーマンス、人前に立つ度胸。基礎中の基礎は築けたんじゃないかな、と。まだまだ沢山のことを体験して、もっと多くのことを知りたいし、力をつけたい所ばかりです。

学生時代、芸術大学について個性的な人が多かったり、レッスンが厳しいという印象があります。 在学中はどんな学生生活を送っていましたか?
芸術って、「他人とは違う自分の色」や「その面白さ」が必要なんじゃないかなっていつも思ってます。その人でなければならない、っていうのが大事なんですよね。それが個性的な人っていう、素の状態にも表れる人は多いかもしれませんね。

レッスンはかなり厳しいですよ。一つ何かを乗り越えて成し遂げても、また更なる課題を乗り越えてなければならない、その繰り返しです。私の中で当時困っていたのは、答えのない問いを教授に何度も聞かれたことです。「何のために音楽を演奏するのか?」と。「歌いたいから、好きだから」と答えれば、「ならば、お家に帰って自室で気が済むまで歌いなさい。その答えでは不十分。」なんて言われたり。じゃあなんて言えばいいの!と苦しんでました。あの頃はまだまだ若かったってことです…(苦笑)。

生活自体は何の学科でもどの学校でも真面目に取り組むんであれば、大差ないです。必死に勉強して、技を研いて、よりよい答えを探す。…つまりは、かなり真面目に火がついて、物凄く勉強しました。華々しくバイトして遊んで大人の楽しみを覚えるような女子大生ではなく、身なりなんて二の次三の次でとにかく高い学費の分沢山のものを学んでやろうとがむしゃらに真面目な学生でした。ただ、音楽って何勉強するの?って所は、中々想像つかないでしょうから、授業の一つ一つの話を聞いて「そんな授業あるのか!?」と驚かれることはありそうですね(笑)。

2020年代に入ってから多様な音楽形態の活動をしていますね。シンガー、アイドル、ロックバンド(in the biotope)、クラシック・・・。 歌唱されてるジャンルや曲も様々でいろんな要素がミックスされて音楽性が豊かな印象を受けました。
何のジャンルでも、歌ってる自分の声は心地よいし、自分の中にある考えや解釈を表現することは楽しい。誰かと共に演奏することで通じ合う感覚がまた心地よい。なんて素敵なことも考えつつ。グループでの活動をする時って、何かと連絡を取ったり、意見交換したりするんよね、「練習はいつ?このステージに出演する?パートやアレンジはどうする?」といった感じで。芸術界隈の個性派さん達に振り回されることは多かったかも。「連絡はちゃんと返せ!気分だけで意見をコロコロ変えて、周りに迷惑かけるな!」と言いたい。けど、そんな風にストレートに言わず、その人に合うような言葉を選んで言い替えをしたりと、少しは上手く立ち回れるようになってきたなぁ…と感じることもありますね。本当に色んな人がいます、だからみんな違って面白いんですよね。

オリジナル曲「Starting」「手紙」では作詞作曲もされています。曲作りはどのようにして行われていますか?
この2曲は私が立ち上げに関わった、元所属していたアイドルグループ「ING」のために書いた曲です。私がこのグループ活動を通じて、皆さんに伝いたいメッセージを歌詞にして、そこに曲をつけました。「Starting」は、The・アイドル曲かつ、INGの一期生として「ここから新しく始める」ってテーマです。「手紙」は、たった一人の同期メンバーを大切に思う気持ちと、私を応援してくださる皆さんへの感謝を込めました。それから、もう二度とアイドルをやる予定も、アイドル活動に必要とされる若さもない私が、このグループに居られる時間は短いと予見していまして。なのに、1曲しかグループのオリジナル曲がない焦りもありました。このままじゃダメだ!でも、曲作りを依頼するお金もツテも誰かに期待して待ってる時間もない!ならば、自分で作るしかない!と。その結果が、あまりにも早すぎるグループの解散とは…、あまりにもお粗末な結果でしたが。泣く泣く曲を「歌乃オリジナル曲」と発表する運びになりました。(泣)

ライブ活動で特に印象に残ってることを教えてください。
この記事を読んでる人が一番期待してそうなエピソードを。「焼きそば事件」です。これはですね、最初のライブ現場と、次のライブ現場への移動中に起こったこと事件です。「お昼ご飯に食べた焼きそばが、なぜか頭の上にピロッと乗ってて、そのままステージオンした」という何気ないドジっ子エピソードなんですが。この事件こそが、歌乃といえば「ドジっ子」「とんでもないドジ」「焼きそば」という印象付けてしまった最大のエピソードかも知れません。私からすれば、このレベルのドジはそんなに取り上げるもんじゃあないと思うんですけど、なぜかファンの間では色濃く語り継がれてて、未だに「焼きそばー!」って呼ばれることも。(笑)

ライブでの失敗談はありますか?
いくらでもありますよ!歌詞間違い、MC忘れ、色々忘れ物したり。ドジなとこ多々あるので、失敗ばかりです。直近のライブでは、セットリスト(曲目)を忘れてしまって、皆でイントロクイズ!状態になっちゃいました。そんなふうに思い出深いライブの一つにはなりますけどね。でも、忘れ物はいけませんね。そこは反省です。

ライブハウスと路上ライブの違いはどんなところでしょうか?
客層とその熱度だと思います。屋内は目的があってその場所に集う人達。屋外はそれ含むその他大勢ってかんじ。ライブハウスにいるお客様は、既に誰かを見に来てて、ライブを楽しもうって感じになってるから、その熱意がライブハウスの音響・照明と相まって激アツです!一方で、野外ライブは沢山の人にライブを見てもらえるから、それだけ新しい出会いが沢山あると思います!どちらも違ってそれぞれ楽しいから好きです。

■ アニソンイベントにも参加されていますよね。好きなアニメ作品はありますか? 
沢山あります!笑って泣けて心動かされる、アニメはこの国の宝で、最高の文化ですから!特に好きな作品は「進撃の巨人」です。「立ち位置が変われば 正義は牙を剥く」というテーマに強く共感します。誰かにとっての正解は、誰かにとっての不正解になる時もある、間違いになる時もある。というように、沢山のことを考えさせられる興味深い作品です。

とても芯の強い方だと感じますが、親しい方や観客の方からはどのように言われることが多いですか?
見た目がクールなんだそうで、「思ったよりも笑う子、思ったよりも喋る子」と!よくSNSに投稿する、眼光鋭いキリッとした表情の写真の中の私は、ステージ上にはあまり居ません。(笑)その代わり、つられて笑顔になっちゃうような面白い人であることは間違いなしです!その方が、私に会う一日が楽しい日になるから良いでしょう?

歌乃さんの強みはどんなところにあると思いますか?
私が私を一番評価する部分は「弛まない強い意志と、継続させる努力がしっかりできる点」なので、過去の活動について、「どの活動も中途半端に投げ出すことなく最後まで力を注いできて、そしてこれからの活動もそうするので、その頑張りをより多くの人に見届けて欲しい」ということだと思います。
これまでの活動に対する姿と、変わらず今の活動に真っ直ぐに取り組む姿勢が、私の最大の魅せ所だと思います!

今後の目標をお聞かせください。
生きてる限り楽しく歌い続けることです。数々の活動のどれも、終わりが来なければいいのにって思う程に、楽しかったこと・努力したことが本当に沢山あります。でも、そのどれも足早に通り過ぎて今の私に至りました。ずっと見ていたいと思わせるようなステージを目指してるのに、○ヶ月間、○年間、と活動の終わりを迎えるのが、悲しくて、応援してくださる皆様を裏切るようで、嫌です。胸を張って「ずっと応援していてください!」というからには、一生応援される私でいなくちゃと思います。生きてる限りは、私を見守ってくれる人のために、何度でも、どこでも、歌いたい。その目標も生涯です!

最後にファンと読者の皆さんにメッセージをお願いします!
最後までご覧くださりありがとうございます。口達者では無いので、あまり自分語りをしない私ですが、いかがだったでしょうか?少しでも「歌乃」を知って、いいね!面白い人だ!と興味を持っていただけたら幸いです。これからも、歌い続ける私を見守ってください。どうぞよろしくお願いします!「以上、歌乃のインタビュー回答でした♪(ライブの最後の挨拶)」


TEXT:東 結吾
PHOTO:
お・だ・や・まPhoto (@o_d_a_y_a_m_a )
やっさん (@w8Cnv0TEs63OENy)
困ったらしど@カメラ垢 (@nyanrocksid)