Sho Kotani は日本のドラマー、また同時にシンガーであり、ソロ転向前はヴィジュアル系バンドEmbraceのドラマーとして活動。4月には彼のシンガーデビューとなるシングル「GOTHIC STAR」をデジタルリリース。
このインタビューを読んでいる、特に初めてあなたを知った皆さんへ向けて自己紹介をしていただけますか?また何故アーティストになろうと思ったか教えて下さい。
ええと、形式張って自己紹介をするのって結構恥ずかしいんだけど、まぁやってみようか(笑) 僕は将来グラストンベリーフェスティバルを目標にしている、歌手・作曲家・ドラマーであり、ただし決してコメディアンではないSho Kotaniという者です。それと、何故アーティストになろうとしたか…って?アーティストというより、最初はまず俺はドラマーになろうとしたかな。まぁ後々結局アーティストになっていくのは、川の流れみたいなもんで、ごく自然な事だったよ。
一言であなたを表すとズバリ?
ゴシックスター。
あなたはギターやピアノもプレイする事がありますが、どうしてバンド内での担当パートとしてドラムをプレイする事になったのですか?やはりX JAPANの紅の影響で?それとも他に理由が?
答えは単純。ドラマーって腕2本と足2本ずつ、計4本しか使わないでしょ?マジだって!楽器の弾けないガキにはそういうのって結構重要だったんだよ(笑) もちろん当然X(特にYoshikiの真摯で真っ直ぐなプレイ)に心奪われたのもあるけどね。
では少しあなたの経歴的な面についても教えて下さい。この2年間では、どんなバンドをサポートしてきましたか?
基本的にはEmbraceとしての活動を終えた2018年の3月以降、どこのバンドもサポートしていないんだ。とは言っても昨年の終わり頃だけ、友人のRyo Fujimuraの活動に一時的にドラマーとして参加したよ。レコーディングに1回、ライブ出演に1回、ね。
ボーカリストとなるにあたって、今年に入ってGOTHIC STARというソロプロジェクトを立ち上げたようですね。なぜソロとして歌うに至ったのでしょうか?他のメンバーを募って新しくバンドを立ち上げるつもりはなかったのですか?
あ、実はね、GOTHIC STARって別にソロプロジェクト名とか肩書きとかじゃないんです。単純に俺の出した最初のシングル曲のタイトルであって、たまに擬人法的にハッシュタグとか付けてSNS(TwitterとかInstagramとか)で使ってるだけなの。それを踏まえて答えます。正直なところ、Embrace時代の後半は、バンドその物における「限界」のような何かを感じてしまっていてね。それを打破するにはソロミュージシャンになって、100%の俺の音楽を、どんな言い訳も無しで、自分の責任のみにおいて作り上げる必要があった。で、やはりソロになるからには自分で自分の曲を歌う事が推奨されるだろうし…そうなるべきだろうなって思った。X Japanみたいなドラムを叩いてる奴が、リアムギャラガーのような出で立ちで歌を歌うようになる。それって俺の音楽人生を彩るのに、ファッキン奇抜で独創的な方法だと思わないかい?
曲を書く上で、もっとも大きなインスピレーションは何ですか?
最近だと、1つか2つの言葉から何かひらめきを得ることが多い気がするかな。GOTHIC STARなんてその最たる例だと思うし。だけどこれまでは、頭の中に鳴っているメロディや楽器の音に基づいて様々なタイプの曲を作ってきた。つまり俺にとって音楽を作る基本的な方法は、どうやってその頭の中の音に近づけていけるか、それを試みていく事なんだ。
ヴィジュアル系以外で、好んで聴くバンドやアーティストはいますか?
好きなアーティストなんかアホほどいるぜ。基本的に音楽を聴くにあたってジャンルは気にしないタチだからあまり確かな事は言えないかもだけど、とにかくクイーン、オアシス、デヴィッド・ボウイ、スウェード、ストーン・ローゼズ、あとはモトリー・クルーなんか最高だね。最近だと、オブ・モンスターズ・アンド・メン、アウスゲイル、ノーベンバーズ、テンプルズ、マンサン、キッド・ウェーブあたりを聴いてるかな。(そういえばキッド・ウェーブって2015年のデビューから音沙汰ないけど活動してるのかな。) もちろんヴィジュアル系だと、XJapan、Buck-Tick、レディース・ルームとか、あとルナシーもたまに好き。それと確かガゼットって2013年か2015年くらいにすげえクールなアルバムを作ってたよね。あれも良いんだけど、いつだったか正確に思い出せない… ファンの人達ごめんなさい。良かったら教えてください(笑)
アーティストで在り続ける上で、もっとも困難な事とは何でしょう?
アーティスト、つまり芸術家で在りながら、一方で経営者的な立場としてのバランスも取らなければならない事かな。それに加え、常に新しい動きを求めていくのに起業家的な視点も持ち合わせなければならない。とは言うものの、実際音楽を作ってる時は採算度外視しちゃう傾向にあるけどね。今の俺は芸術家85%、起業家10%、経営者5%、って感じだな(笑)
なぜ今の音楽スタイルでやっていこうと思いましたか?
なぜビデオの中でドラムと歌を別々に演っているかって事かな?ただ単にドン・ヘンリーのようなスタイルは目指してないからかな。(イーグルスと彼の事が大好きだとしてもな!)
ゴシックスター(GOTHIC STAR)という名の裏にある意味は何でしょうか?1〜2文程度でお答え頂きたいです。
リアム・ギャラガーは自分をロックンロールスターだと歌っているし、またデヴィッド・ボウイは最後の作品で自身がブラックスターであると歌った。俺は何で自分を歌い表そうか?ゴシックスターしかないだろうと。それ以上でもそれ以下でもないさ。
リスナーの皆さんには、あなたの音楽を通じて何を感じ取って欲しいと考えますか?
ホンモノとは何か、かな。俺は自分の音楽、歌詞、サウンドそのもの、全てに決して嘘をつかない。打ち込みのドラムだとか、不自然に補正されたボーカルピッチだとか、そんなものが君の心を撃ち抜くと思うか?
GOTHIC STARというソロプロジェクトを通じて、どんな記録を重ねていきたいと思いますか?
上記でも言ったように、GOTHIC STARはソロプロジェクトを冠した名前ではないんだ。なので僕自身、あくまでSho Kotaniとして答えるよ。この場合の記録が具体的に何を指すのかわかりかねるけど、自分の音楽が世界中で分け隔てなく拡がると良いよね。境界線が敷かれてたりするのってマジで苦手なんだ。
GOTHIC STARやDear Diaryを作曲した際に、何を心掛けていたか教えて下さい。
些か難しい質問ではあるけれど、単純にこうとも言えるかな。さっきも答えたように、作曲をする時は頭の中に鳴る音にいかに近づけられるかが大切で、それを注意深く聴くように心掛けている。ちなみにさらにDear Diaryでは、隔離政策におかれた全ての友人、ファン、大切な存在への想いを持ちながら制作に挑んだ。歌詞はその彼らへのメッセージにもなっているよ。
ゴールデンウィークでは、幾人かのミュージシャン達と共同でビデオを制作し、公開していましたね。彼らを選んだのには、それぞれどのような理由があるのでしょうか?
RoA (革命前夜, Embrace):
Atsushiとビデオを作ろうかと話しているその時、RoAもちょうどAtsushiと共にいたらしくてね。それに彼が歌うのが好きだという事も知っていたしね。(Embraceのライブで一度だけパートチェンジを披露した時、彼はAtsushiの代わりに歌った事もあるんだ。)
Ryo Fujimura (The Betrayed):
コロナ禍の前にすでに、元々2人でビデオを作ってみようと色々試してみていたんだ。だから彼とコラボを希望したのは至って自然な流れかな。
山口慎平:
1日くらいは演奏じゃなくトークセッションもやりたいなって。彼はギャンブラー(通称投資家)だし、エンタメ全般においても造詣が深いから、何にでも踏み込んだ話ができるしね。
Atsushi (Embrace):
ある時LINEをしていて、コロナ禍について話し合っていた。それでビデオを作ってみるのはどうだ?と俺が提案して、彼が快く受け入れてくれたんだよ。で、それが決まってから、どうせ5連休あるんだったら、5日間毎日1本ずつビデオを投稿するのはどうだろうかと思いついて。それで上記の友人達にも声を掛けたわけ。それがGCW(ゴールデン・コラボレーション・ウィーク)の始まりなんだ。
過去数年間のアーティスト活動において、最も大切な、あるいは貴重な思い出は何ですか?
いやぁ…簡単には決められないけど…。台湾のSpring Screamに出演した事。Embraceで活動してきた全ての事。あるいはこの間のAnimecon @ Homeでのライブショーケースで、バーチャルヨーロッパデビューを果たした事。でも本当に貴重な瞬間って、俺にとってはファンやリスナーから僕の音楽やパフォーマンスについての感想やメッセージを貰う時かもね。
ロックミュージックとはあなたにとって何を意味しますか?あるいはあなたにとっては「生きる意味」そのものでしょうか?
それが何を意味するのかというより、ロックミュージックは他のジャンル同様、音楽にとってのただ一部でしかない。もし俺がその気になればヒップホップだってジャズだって歌うだろうし、ロックだけじゃなく音楽そのものが「生きる意味」だよね。
あなたをサポートする皆さんに向けて、あなたの音楽の独自の強みはどんなところですか?
「フェイク」じゃない、ってところかな。決して自分の音楽に対して嘘はつかないし、クソみたいなプラグインを使って君を騙しあげるなんて絶対にしない。そして「二面性」もまた、俺の音楽の独自なスタイルになると思ってる。例えば「感情的なドラムを叩いておきながら、歌う時は飄々としてる」だとか、「キャッチーなメロディに対して、少し読み取るのに難解な歌詞」だとか、「真面目かと思ったらおどけてる」とか「半分日本人、半分アメリカ人」とか…ね。
幾多の国々が少しずつでも平穏を取り戻しつつある中、それでもコロナ禍はまだまだ事態の収束が見えません。アーティストにとっても依然として厳しい状況が続きます。そんな中であなたは、どのようにこの時勢を切り抜けていますか?
ただただ自分の為、あるいは家族の為に時間を過ごしているよ。またこの世界の事をよく学ぶようにしている。作曲、学び、充分な休息、必要とあらば何もしない事も良いかもしれない。そして2つ大事な事がある。1つはどのように自分自身と向き合うか。もう1つは実際に今この瞬間この世界で何が起きているのか、正しく理解する事だ。イデオロギーや自身の願望が先立つのではなく、事実を見つめ理解すべきなんだ。
あなたのファンに向けて、心に留めるべき言葉、拠り所となるような言葉を伝えて頂けますか?
前の答えたように、イデオロギーや願望に惑わされず、重要な物事を考える時にはまず事実を見つめ理解するべきなんだ。ただし翻って自分自身について考える時には、今度は自分自身とよく向き合うべきなんだ。やりたい事、希望、あるいは夢、これらを決して蔑ろにせずにね。たとえ俺の音楽は忘れても、これらの事は心に留めておいて欲しい。
最後に、あなたのファンへメッセージを。
愛しています、いつも。どうか無事で。身近な存在を大切に。
インタビューの機会を頂き、ありがとうございます!